2011 Fiscal Year Annual Research Report
インド亜大陸の衝突と気候変動による淡水魚類の進化と生物地理の解明
Project/Area Number |
20405012
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
熊澤 慶伯 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 教授 (60221941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 浩之 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90433086)
岩田 明久 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (20303878)
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Keywords | 淡水魚類 / タイワンドジョウ / インド亜大陸 / 分子生物地理 / 古環境変動 |
Research Abstract |
本研究は、東南・南アジアに分布する淡水魚類をフィールドワークにより採集し、その起源と多様化の過程を、最新の形態的・分子的手法を用いて解明することを目的とする。平成23年度は、10月にインドネシア・スマトラ島で、3月にミャンマー南部のタニンターリ管区周辺でフィールド採集を行った。スマトラ島ではChanna cyanospilosを始めとするタイワンドジョウ科の8種、コイ科の9種、オスフロネムス科の2種、ヒレナマズ科の2種、ダツ科のXenentodon canciloidesなど様々な淡水魚類を約320個体収集した。一方ミャンマー南部では、タイワンドジョウ科の3種、コイ科の7種、フグ科の3種などの淡水魚類を約400個体収集した。これらの標本は、タイの研究協力者などにより正確な種同定及び分類学的検討を行いつつあり、新種があれば将来記載を行う予定である。昨年度までの調査で東南アジアの各地から収集した標本について、ミトコンドリアDNAのND2遺伝子領域と核コードのrag1遺伝子領域の塩基配列決定を行った。特にタイワンドジョウ科については、未記載種も含めて約43種の標本ほぼ全てについて分子データの取得を終え、分子系統解析を行った。またその一部に関して形態学的研究を行った。その結果、11種ほどの未記載種の存在が示唆されたほか、今まで分類学的位置づけが不明確だった6種についても系統関係を明確にすることができた。また、本科魚類の種分化がインド亜大陸のユーラシアへの衝突及びヒマラヤ山系の形成に伴い活発化し、現在のインド北東部からミャンマーにかけての地域で山岳性小型種群の適応放散が起きたという興味深い生物地理学的な知見を得ることができた。東南アジアに広域分布する本科について、これほど大規模に系統分類学的検討を行った前例はない。現在このタイワンドジョウ科の研究成果とヘテロプネーテス科ナマズ類の分子研究の結果とを論文化する作業を進めている。
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[Book] Fishes of Terengganu-east coast of Malay Peninsula, Malaysia2011
Author(s)
Matsunuma M, Motomura H, Matsuura K, Shazili NAM, Ambak MA
Total Pages
251
Publisher
National Museum of Nature and Science, Tokyo, Universiti Malaysia Terengganu, Terengganu, and Kagoshima University Museum, Kagoshima
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