Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 隆 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 助教 (40314140)
内山 智裕 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 助教 (80378322)
内藤 整 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (40252902)
豊田 由貴夫 立教大学, 観光学部, 教授 (20197974)
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Research Abstract |
平成20年8〜9月,21年1月にPNGウェワク地域で臨地調査を実施し,前年の学術振興会熱帯生物資源研究助成事業調査と合わせて,同地域における無刺タイプの3民俗変種(Kunangu, Kosogu, Kanduan),無刺タイプの2民俗変種(Yerevi, Yenbeng)を伐採調査した。樹体サイズを表す形態形質,収量構成要素(髄乾物率,髄部組織のデンプン・全糖含有率),デンプン生産量を調査した。併せて地域住民へのインタビューを行い,いかなる根拠でそれぞれの民俗変種を仕分けているのかを調査した。その結果,無刺のKunanguの名前の一部nanguとはサゴヤシ一般を示す名称であり,kuとは「大きい」という意味で,背が高い(樹高が大きい)ことを表している。樹中の実(髄)が多いともいわれる。また,pangal(ピジン語で「葉柄」)が白いものと,緑色のものがあるといことで,これは葉柄の基部の葉鞘に当たる部分の蝋状物質の蓄積程度の差を表現しているものと考えられた。Kosoguの特徴はKunanguに似ている。他の特徴としては,limbun(ピジン語で「幹」)が固くなくて,切り倒しやすい。Kanduanは他よりも樹体サイズがそれほど大きくない。民俗変種によってデンプンの味に差はない,有刺のYereviは普通は食用としない。その理由は実(髄)がなくて(隋乾物収量が少ないということか),ただの木で(樹幹に産み付けられた)オサゾウムシを捕るのに利用される。それに対して,同じ有刺でもYenbengは食用とされ,収量は多い。このように,住民は外見や構造などの差と,収量性などの特徴を併せて民俗変種を認識する指標としていることが明らかとなった。今後は,他の言語グループを対象とし,異なる地域間の民俗変種を比較することが課題である。
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