2010 Fiscal Year Annual Research Report
菌類と共生する昆虫の生態解明とそのリスク評価:害虫化の根源を探るための日米間比較
Project/Area Number |
20405025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶村 恒 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10283425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 裕一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00220236)
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Keywords | 媒介昆虫 / キクイムシ / 共生菌 / 病原性 / 相互作用 / 共進化 / 系統分化 / 侵入種 |
Research Abstract |
キクイムシなど、菌類と関係する昆虫について、以下の主たる知見を得た。 1. 昆虫の捕獲と生態調査 トラップや餌木によるモニタリングを継続するとともに、貯木場における穿孔状況を調べた。また、現場の生活史を詳細に把握し、その特性に基づいた防除の適期および方策を提案した。 2. 菌類の分離と生態調査 虫体や生息場所における菌相とその動態を、酵母類や細菌類を含めて、明らかにした。侵入種と思われる分離株も発見し、その由来と来歴を考察した。分離菌の培養的性質やマイカンギア(菌類を保持する特殊器官)の微細構造も検討した。 3. 昆虫と菌類の遺伝解析 キクイムシの種内系統関係を、国内外の採集地間で比較した。海外個体群と日本個体群で、その系統が一致する場合があった。また、様々な昆虫共生菌の分子系統解析を行なった。 4. 依存度の査定、加害性および病原性の検討 開発した飼育法を駆使して、キクイムシの繁殖成功度を弊出するとともに、坑道(巣)内における行動生態を解明した。また、一部の分離菌について、寄主木に対する病原性を確認した。 5. 共生システムの解析 半数倍数性/同系交配のキクイムシ種が共生細菌と関係しやすいことを実証した。また、数理モデルを用いて、そのシステムが構築される閾値を推定した。
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