2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス北部山間地河川に生息する魚類の産卵場所と仔稚魚の成育場所を解明する研究
Project/Area Number |
20405032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 明久 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20303878)
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Keywords | ラオス / 山間地河川 / 魚類 / 産卵場所 / 仔稚魚 / 成育場所 |
Research Abstract |
本研究は先行研究が全くない、ラオス北部メコン河支流の山間地河川ウー川中流域を調査地として、雨季と乾季、年に二回のフィールド調査を実施し、魚種同定と生態情報の収集、卵・仔稚魚の調査、水文環境・景観調査および水域環境測定等の環境特性の調査を行う。調査によって得られた情報を基に山間地河川に生息する魚類の産卵場所・仔稚魚の成育場所の特性を解明し、水産資源の適切な管理と持続的利用に向けての具体的な方策を提言し、当該国・地域に貢献することを目的とする。本研究から得られる結果は学術的価値が非常に高いばかりでなく、東南アジアの地域住民のヒューマンセキュリティーに大きく関わるタンパク質供給源のうち、ラオス・メコン河流域で重要な位置を占める水産資源の多様性維持と持続的利用に関して、重要かつ具体的に貢献ができるものである。 平成21年度は雨季である7月に岩田とプーヴィンが、乾季の3月に岩田・プーヴィンが現地調査を行った。昨年度提示された、「山間地河川に生息する魚類の仔魚は乾季には緩流域滞留型成長を、雨季には流水域流下型成長を行う」という仮説を検証するために、昨年度の乾季から実施した大型のプランクトンネットを用いての仔稚魚の流下調査を本年度の雨季と乾季にも実施した。雨季の現地調査で、湧水の流出する場所があり、本調査区域の水文環境を特徴づけている可能性が考えられたので、昨年度から実施した安定同位体元素分析にこの視点を追加した。また、今年度の乾季調査では河川環境の違いによる仔稚魚の分析を開始した。現在、標本は分析・解析の途中であり暫定的ではあるが、安定同位体元素解析の結果、乾季は湧水期限の影響は軽微であること、魚類群集を構成する魚種の安定同位体比が類似し、階層関係にないこと、乾季にも仔稚魚が流下している可能性があること、河川においても藻場が仔稚魚の重要な成育場所である可能性が高いこと等が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)