2010 Fiscal Year Annual Research Report
流域レベルの物質循環と多面的機能の有効な発現に関する研究
Project/Area Number |
20405037
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
八丁 信正 近畿大学, 農学部, 教授 (00268450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
凌 祥之 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10399363)
松野 裕 近畿大学, 農学部, 教授 (50340766)
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Keywords | 物質循環 / 窒素収支 / 循環モデル / システムダイナミックス / 環境負荷 / 小流域 / ベトナム / タイ |
Research Abstract |
本年度は、調査の最終年度として、昨年度の調査を行うとともに研究成果の取りまとめ、公表に重点を置いた研究を実施した。ベトナムにおいては、ベトナム農業科学アカデミーの農業環境研究所と協力して、研究対象地域の窒素循環について、システムダイナミックスを用いたモデル化を行い、土壌中の窒素の変動を用いて、モデルの有効性を検証した。対象作物は、野菜の連作(6作)、グレープフルーツ、米とし、それぞれについて窒素変動を解析した。このモデルの策定により、環境負荷の少ない化学肥料の投入や、有機堆肥の利用についての知見を得ることができた。 また、タイのチェンマイ周辺のMae-Tang流域(Raming Tea Plantation)を対象に調査を継続するとともに、流域の物質循環をモデル化し、茶の生産量と窒素の循環について、モデルの検証を行った。その結果、茶の有機栽培は環境的にも負荷が少なく、付加価値が高いものであるものの、土壌中に蓄積された窒素が徐々に低減しており、茶の収穫に見合った有機肥料の投入がなければ、生産の低下につながることが明らかになった。 さらに、国内においても、琵琶湖東岸の西の湖流域を対象に、循環灌漑や水質浄化池を活用した植物等による環境負荷(特に窒素、リン)削減効果の有効性について分析を行い、物質の循環メカニズムおよび浄化機能の検証を行った。また、検討の中で物質循環メカニズムのモデル作成を行い、その検証・改良に基づき、環境負荷低減に対する提言を行った。 これらの成果は、2010年10月に韓国済州島で実施された国際水田・水環境工学会大会においてワークショップを開催し、海外の研究者や政府関係者に広く公表した。
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