2010 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂発生源における地表面過程の研究-黄砂抑制政策への反映を目的として-
Project/Area Number |
20405038
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
木村 玲二 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (80315457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 雅雄 長崎大学, 工学部, 准教授 (00240911)
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Keywords | 黄砂 / ダスト / サルテーション / 植被率 / 土壌水分 / 臨界風速 / 土壌粒径 / バイオマス |
Research Abstract |
1.モンゴル半乾燥地草原における2008年と2009年の現場観測データを用い、サルテーションの発生に対する植生(そのほとんどが枯れ草)の影響について解析を行った。植被率が約8%の2008年に対し、植被率が約19%の2009年はサルテーションの発生量が約500分の1と大幅に少なくなった。サルテーションの初動に対する臨界風速に関しても、2009年の方が大きな値となった。また、植生は粒径が130~500μmの範囲の粒子を選択的にトラップしており、黄砂(ダスト)の発生に対して植生は効果的な抑止力を持つことが明らかとなった。 2.黄砂の発生源である中国陜西省神木県六道溝流域の自然草地において、2005年から2007年までの生長期における植生バイオマスに対する降水量や土壌水分の影響について検討した。根圏の土壌水分は降雨強度が大きいときに高く維持されており、バイオマスは総降水量よりもむしろ土壌水分と直接関係があることが示唆された。バイオマスのピーク値は7月から8月にかけての集中的な雨に強く影響された。地表面温度を用いた湿潤度指標の値を日々積算した総湿潤度とバイオマスとの相関は高く、総湿潤度が総土壌水分減少量の代替値に成り得ることが示唆された。本研究で得られたような植生の気候値に対するダイレクトな反応がこれからの黄土高原における黄砂抑制対策に活かされる必要があることを提示した。 3.中国甘粛省張掖市の荒漠草原に設置されたダスト発生モニタリングシステムを用い、引き続き気象要素、土壌水分、ダスト濃度、サルテーション数の観測を行った。 4.砂の物理的な挙動を明らかにするため、鳥取砂丘内にモニタリングシステムを設置した。具体的には、サルテーションの発生に対する土壌水分の影響を詳細に解明するのが目的である。
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