2008 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアに分布するジアルジアの遺伝的多型形成維持機構の研究
Project/Area Number |
20406007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
所 正治 Kanazawa University, 医学系, 講師 (30338024)
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Keywords | ランブル鞭毛虫 / ジアルジア / 種内多型 / 分子寄生虫学 / 進化学 / 腸管寄生原虫 / インドネシア / 熱帯医学 |
Research Abstract |
1.フィールドワークの概要 平成20年8月にインドネシアスンバ島における10日間のフィールド調査を実施し、インドネシア島嶼部におけるジアルジアのサンプル収集を実施した。ヒト由来糞便サンプルとして総計442検体を、また、野鼠、水牛、イヌ、ブタ、ウシ等のヒトの周辺に生息するほ乳類からは総計210検体を収集し、顕微鏡および帰国後のPCRによって各原虫の感染を確認した。その結果、ヒトにおいては年齢層による差異はあるものの約15%に達するジアルジア感染を確認し、また、動物においても多数のジアルジアを収集した。以上の結果、合計66サンプルのヒト由来のジアルジア及び32サンプルの動物由来のジアルジアを確保した。 2.遺伝子型解析 各ジアルジアサンプルには、GPSを用いた採取地情報の他、採取状況及び家族歴がリンクしている。そこで、遺伝子型の決定により、このような周辺情報と遺伝子型の相関解析を実施した。興味深いことに、今回のフィールドである小集落内で採取されたジアルジアの種内多型には、何らかのライフサイクルの隔離を疑わせるクラスター構造が認められたが、宿主特異性とも、また地理的な隔離とも相関は認められず、この現象の背景にある隔離メカニズムの詳細は不明だった。また、病原性と遺伝子型の相関は認められず、本原虫の病原性には、免疫などの宿主要因が大きく影響している可能性が示唆された。 3.展望 次年度以降も、ライフサイクルの隔離要因探索を目的としたジアルジアの収集と遺伝子型解析は継続するが、本原虫の感染状況のさらなる理解には、獲得免疫の解析を含めた宿主要因を考慮したアプローチが必要であり、今後の課題である。
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