2010 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアに分布するジアルジアの遺伝的多型形成維持機構の研究
Project/Area Number |
20406007
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
所 正治 金沢大学, 医学系, 講師 (30338024)
|
Keywords | ランブル鞭毛虫 / ジアルジア / 種内多型 / 分子寄生虫学 / 進化 / 腸管寄生原虫 / インドネシア / 熱帯医学 |
Research Abstract |
途上国のまん延地域における腸管寄生原虫の遺伝子型分布の実態を明らかにすることで、その多型維持・形成のメカニズムを明らかにすることを目的に、インドネシアの様々な地域でサンプル収集を進めてきた。本年度は、スンバ島西部に位置するワインニャプ地域において学校ベースの糞便サンプル収集を実施し約600検体を採取解析した。ジアルジアの陽性率は学年が上昇するにつれ低下するが、およそ6-16%を示し、各遺伝子型の分布解析を実施可能な感染率と考えられた。また採取サンプルからは、アメーバ属原虫をはじめとした病原性原虫とともに非病原性のメニール鞭毛虫等も検出され、これらについても詳細解析が進行している他、野鼠、ブタ、イヌ等の動物サンプルについては遺伝子型によるフィンガープリンティングによる人獣共通感染の実態把握を実施した。一方、まん延地域の日和見感染の実態を把握するために収集されたバリ島の協力病院のHIV陽性患者糞便84検体についても、各種腸管寄生原虫の検査を実施し、27.3%のジアルジアを検出したほか、クリプトスポリジウム8.3%、また、複数のアメーバ属原虫の感染を確認した。以上の検体については、いずれも遺伝子型・種の分子分類による解析が現在実施中だが、その成果を踏まえて、最終年度のフィールドワークにおいて、各寄生原虫あるいは遺伝子型ごとのマッピングを感染させ、まん延地域における原虫のライフサイクル・生息域隔離の実態を明らかにする予定である。
|