2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールでのロタウイルスワクチン導入が重症下痢症および流行株に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
20406013
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中込 治 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
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Keywords | ロタウイルス / ワクチン / 血清型 / 流行株 / G12 / ネパール |
Research Abstract |
ネパールにおけるロタウイルスワクチンの導入を目前にし、首都カトマンズの最大の小児病院であるカンティ小児病院で5歳未満の重症下痢症患者の便検体を2年間にわたって収集し、その結果について解析した。1139検体中、ロタウイルス陽性検体は33%に相当する379検体であった。もっとも高頻度に出現したG血清型はG12であり、2005年から2006年にかけての流行年では型別できた株の50%をしめ、2006年から2007年にかけての流行年では29%をしめた。これに次いで、2005年から2006年にかけての流行年でのG1(26%)、同流行年でのG9(28%)、2006年から2007年にかけての流行年でのG2(20%)が主な流行株であった。また、もっとも高頻度に出現したP血清型はP[8]であり、2005年から2006年にかけての流行年では型別できた株の47%をしめ、2006年から2007年にかけての流行年では35%をしめた。これに次いで、P[6]が2005年から2006年にかけての流行年での37%、2006年から2007年にかけての流行年では33%であった。GとPの組合せではG12P[6]がもっとも高頻度に出現し、これにG1P[8]とG2P[4]が続いた。世界の中でもG12株がこのように高頻度に出現しているところはなく、しかもその大半が現行のワクチン株に対して完全に異型であるG12P[6]であったことは、引き続きサーベイランスを行うことの重要性を示唆している。
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