2010 Fiscal Year Annual Research Report
排泄促進による解毒と飲水中砒素の無毒化による総合的な慢性砒素中毒の改善・予防対策
Project/Area Number |
20406014
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
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Keywords | 砒素 / 排泄促進 / 解毒 / 無毒化 / 改善予防 |
Research Abstract |
昨年度までの成果を受けて、ハムスターにブロッコリー(B)粉末添加動物飼料を与えた後に三酸化ヒ素を単回投与しメチル化と発癌につながる酸化的DAN損傷に対する影響を検討した。血中還元型グルタチオン(GSH)濃度はB添加飼料群で高かった。尿中ヒ素の化学形態分析から、ヒ素のメチル化促進が確認され最終産物であるDMAはほぼ2倍であった。また、DNA損傷の指標となる8-OHdGは尿中及び肝臓中で初期にB添加飼料群で一過性に高くなるものの長期的には低下することが確認された。さらに、B粉末のヒ素排出促進効果について、最終目的の人での検証を試みた。動物実験とは異なり、ヒ素を曝露しての排泄・代謝促進の検証が出来ないので、人が飲食を介して体内に蓄積しているであろうヒ素を含む重金属の尿中排泄を指標としてB粉末摂取によるヒ素排泄・代謝促進の効果を検証した。健常ボランティアに青汁として製造したB粉末5grを1日1回14日間連続摂取させた。個人差が極めて大きいが、経時的に採取した尿中ヒ素、水銀、鉛、カドミウムなど重金属の排泄がB粉末摂取後に高まる傾向が確認された一方、鉄、カルシウム、燐などの必須金属類の血液濃度の低下や、血液生化学的検査において肝臓・腎臓への影響は見られなかった。その他、主要な血液生化学検査に何らの影響も与えないことが確認され、健康に対する安全性が検証された。 当初、中国の慢性砒素中国発症フィールドでの介入試験を計画したが、中国国内のメラミン入りミルク問題勃発から、現地での協力が得られなく断念せざるを得なかった。次いで、三酸化ヒ素、ガリウムヒ素、ヒ素化学兵器のヒ素化合物から、還元剤の存在下でビタミンB12を作用させ、トリメチルアルシンオキシドを経て、アルセノベタイン(AsB)に変換させた。このAsBには、アポトーシス、活性酸素誘導など酸化ストレスなどの毒性は見られなかったことから、無毒化の最終産物となり得る事が確認された。
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