2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア系人種における慢性腎臓病疫学調査:Cr標準化と慢性腎臓病有病率の解析
Project/Area Number |
20406022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 圓裕 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任准教授 (00223305)
堀尾 勝 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20273633)
安田 宜成 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座准教授 (60432259)
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Keywords | 糸球体濾過量(GFR) / GFR推算式 / Cr標準化 / 慢性腎臓病(CKD) |
Research Abstract |
本研究の目的は日本人の糸球体濾過量(GFR)推算式が広くアジア人種に適応可能かを検証し、さらにGFR推算式活用の前提となるクレアチニン(Cr)検査の標準化をはかり、アジア各国のCKD疫学調査を支援することである。 慢性腎臓病(CKD)対策は、世界中で増加し続ける末期腎不全患者対策として喫緊の課題であり、腎機能低下に関連して危険度が高まる心血管疾患や死亡の対策としても重要である。腎機能の評価法として、国際的に血清Cr値にもとづいたGFR推算式を用いることが推奨されており、国際的にはMDRD式が一般に用いられるが、日本人には適していないことが明らかとなった。そこで日本腎臓学会は新たに日本人のGFR推算式を作成したが、これがアジア系人種に広く適応可能かについて検証を要する。またGFR推算式の前提となるCr検査は、測定方法やキャリブレーションが各国で異なり、その標準化が必須である。GFR推算式、Cr標準化は、今後アジアのCKD疫学調査を行うための基盤となる。 平成22年度の研究成果として、アジア各国の代表との協議を2回行い、日本人のGFR推算式の検証をタイ人60例において医師主導型治験として実施している。Cr標準化は国際標準血清(検査医学標準物質機構)に加え、日本臨床衛生検査技師会より標準血清を購入し、アジア各国に冷凍輸送し、2日連続、各5回の測定をし、結果を日本に報告してもらう。参加国と代表者は韓国:Prof.Ho Yung Lee, Prof.Yo Sung Kim,台湾:Prof.Hung-Chun Chen,タイ:Prof.Kriang Tungsanga,シンガポール:Dr.Teo Boon Wee Jimmy,中国:Prof.Zuo Li。台湾ではCr値はJaffe法と酵素法で測定され、Jaffe法での値は酵素法とよく相関するがわずかに低い値を示すことから、自動分析機において既に補正後のCr値が報告されていると考えられる。日本の酵素法と台湾の酵素法の値はほとんど差が無い。韓国ではCrはJaffe法で測定され、日本の酵素法の値に比べ約0.2mg/dL高い値を示すことから、自動分析機での補正は行われていない。その他の国は現在進行中である。
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Research Products
(81 results)