2009 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病迅速診断法の開発と麻痺型狂犬病臨床診断への応用―アジアにおける多施設検討
Project/Area Number |
20406026
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
アハメド カムルディン Oita University, 全学研究推進機構, 准教授 (00398140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西園 晃 大分大学, 医学部, 教授 (70218155)
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Keywords | rabies / diagnosis / immunochromatography / human / epidemiology |
Research Abstract |
我々は、現在までスリランカMedical Research Instituteにて、臨床的に狂犬病と診断された患者の脳検体、48例から迅速イムノクロマト法(RICT)、RT-PCR法、及び蛍光抗体法(FAT)を用いて狂犬病ウイルス(RV)の検出を行った。最も感度の高いRT-PCR法では1^<st>PCRで44例が陽性、Nested-PCRでは48例全てが陽性を示した。一方、RICTでは47例が陽性、FATでは40例が陽性を示した。この結果から、RICTは現行のRT-PCR法と比較して安価で迅速な診断を可能にし、FATよりも高感度にRV抗原を検出できることが示された。今後は、陰性対照群としてヒトもしくは動物検体の確保に努める。 現在、N及びG遺伝子全長、G-L非コード領域全長配列については遺伝子解析が進み、これまでに報告されていたスリランカ分離株とは異なる塩基配列の特徴を持つことが明らかとなった。さらに、代表的な1株については全ゲノム解析が終了し今後スリランカ国内での遺伝子解析に有益となることが期待される。 また、G-L非コード領域は非常に可変的であり、短期間のウイルスの進化を追跡するのに有用である。そこで、スリランカ国内における森林型、及び都市型流行によるRVの進化を追跡するため、現在、広域で動物検体の収集にあたっている。 各倫理委員会の承認を得て、スリランカ、バングラデシュ、及びブータンにおいて臨床診断で脳炎または急性弛緩性麻痺と診断された患者の脳脊髄液を収集している。特に、スリランカにおいて収集され解析済みの24例の内、5例からRT-PCR法によってRV遺伝子が増幅され、5例の内、2例ではRICTによってRV抗原も検出された。また、バングラデシュでは69例中、1例がRICT陽性であった。これらの結果を基に、麻痺型狂犬病の診断法の開発や発症機序の解明に繋がるよう、研究を続けていく。
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Research Products
(5 results)