2008 Fiscal Year Annual Research Report
確率的符号器をもつ情報理論的に安全な暗号システムにおける符号化定理
Project/Area Number |
20500004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古賀 弘樹 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (20272388)
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Keywords | 情報理論 / 符号化定理 / 秘密鍵暗号 / 情報源符号化 / 情報スペクトル |
Research Abstract |
本研究では、通信システム、特に秘密鍵暗号系、ステガノグラフィなどの確率的符号器を有するシステムがもつ基本的な情報理論的性質を、明らかにすることである。本研究の特徴は、情報源や通信路に対する極めて緩やかな仮定のもとで、考える通信システムの特徴付けを行うことである。 平成20年度は、一般情報源(無記憶性・マルコフ性などの仮定のない)の固定長符号化の問題と、シャノンの暗号システムとして知られる秘密鍵暗号系の解析を行った。固定長符号化の問題では、符号器は情報源から出力される長さnの系列を符号語に変換し、復号器は符号語から情報源出力を復号する。本研究では、復号誤りが生じる確率がn→∞でOに収束するという要請のもとで、任意の確率的符号器と決定的復号器に対して成り立っ関係式を明らかにした。得られた関係式は、符号可逆定理に相当するもので、従来Fanoの不等式として知られている不等式の一般化と考えることもできる。本研究ではまた、一般情報源から出力される長さnの平文を、符号器と復号器で共有している秘密鍵のもとで暗号化する方式について考察し、任意の確率的符号器と決定的復号器に対して成り立っ符号化逆定理を導出した。従来、一般情報源をもつシャノンの暗号システムでは、漸近的等分割性として知られる性質が成り立たず、Homophonic Codingと呼ばれる手法を用いた確率的符号器を構成していたが、本研究の結果により、Homophonic Codingを用いた手法が確率的符号器を含めた符号器クラスで最適性を有することがわかった。
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