2008 Fiscal Year Annual Research Report
形式言語に対する例からの学習を行う効率的アルゴリズムの開発・応用
Project/Area Number |
20500007
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
若月 光夫 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 助教 (30251705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 悦次 電気通信大学, 名誉教授 (40016598)
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Keywords | 計算論的学習理論 / 正例からの学習 / 極限同定 / 等価性判定 / アルゴリズム / 決定性文脈自由言語 / プッシュダウンオートマトン / 変換器 |
Research Abstract |
計算論的学習理論は,人工知能の実現において最も重要な研究分野の一つである機械学習の可能性を,数理的で厳密に解析を行う破究パラダイムである.このような研究の対象として形式言語を選択し,その部分クラスの中で実用上重要な決定性文脈自由言語を受理する決定性プッシュダウンオートマトン(DPDA)またはそれに対応した文法等について,その構造に妥当な制約を課した部分クラスを幾つか対象として選び,計算論的な手法によって学習アルゴリズムを開発し,その応用を図ることを目的として研究を行った.本年度は以下の研究成果を得た. 1. 学習アルゴリズム開発の基礎構築DPDAに出力機構を付与した決定性プッシュダウン変換器(DPDT)の等価性問題について,実時間空スタック受理式限定ワンカウンタ変換器と呼ぶDPDTの部分クラスに対して,その等価性判定が多項式時間で行えることを証明した.等価性判定は形式言語の学習において重要な意味を持っており,上記成果は対象とするDPDTに対する質問による学習に利用できる. 2. 学習アルゴリズムの開発Szilard strict DROCAと呼ぶDPDAの部分クラスに対する,正例からの極限同定アルゴリズムを開発し,ある意味において多項式時間極限同定可能なことを明らかにした.また,準同型写像による変換によって言語を拡張したクラスについて,正例から極限同定可能な新たな真部分クラスを示し,その極限同定アルゴリズムを提案した. 3. 学習アルゴリズムの応用ある制約を課した順序機械でさえ,与えられた入出力例から最小状態数のものを多項式時間で極限同定するのがNP困難であることを示し,それを基盤とした基本的な暗号システムを提案した.
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