2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子多体問題に対する並列シミュレーション手法の研究開発
Project/Area Number |
20500044
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山田 進 Japan Atomic Energy Agency, システム計算科学センター, 研究副主幹 (80360436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 昌彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (60360434)
大橋 洋士 慶應大学, 理工学部, 准教授 (60272134)
今村 俊幸 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (60361838)
松本 秀樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 研究支援者 (40209648)
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Keywords | ハイパフォーマンスコンピューティング / 密度行列繰り込み群 / 固有値計算 / 並列計算 / フェルミ粒子 / ハバードモデル |
Research Abstract |
大規模な1次元ハバードモデルを計算できる手法である密度行列繰り込み群(DMRG)法を直接2次元モデル用に拡張するため、2次元モデルの隠れた並列性を見つけ、これを利用した並列化を提案した。この並列化により、DMRG法を利用して2次元ハバードモデルを系統的に高精度で計算することが可能になった。この成果はハイパフォーマンスコンピューティングの国際会議である「VECPAR'08」において口頭発表し、さらに投稿論文は会議にselected paperに選ばれた。また国内の研究会ではあるが「駆的科学計算に関するフォーラム2008〜線形計算を中心に〜」において招待講演を行った。また、この開発した並列DMRG法を利用してスピン数の異なるハバードモデルをシミュレーションすることで、高温超伝導体の渦糸イン構造を調査したところ、モット状態のまわりに金属状態が現れることを見出した。この成果は「Physica C」に掲載された。 さらに、開発した並列DMRG法を基により詳細の物理量が計算できる動的DMRG法を開発した。この動的DMRG法では連立一次方程式を計算する必要があり、CG法を用いるのが一般的であったが、物理的性質から方程式の係数行列は対称複素行列になるためCOCG法を採用しその有効性を確認した。これにより、これまで計算することが困難であった準2次元(梯子型)ハバードモデルの一粒子スペクトルを系統的に計算することに成功した。この成果は「密疎行列繰り込み群法を用いた物性研究の新展開」、「Supercomputing in Solid State Physics 2009」などの物理分野の研究会において発表した。
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