2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子多体問題に対する並列シミュレーション手法の研究開発
Project/Area Number |
20500044
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山田 進 Japan Atomic Energy Agency, システム計算科学センター, 研究副主幹 (80360436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 昌彦 独立行政法人 日本原子研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (60360434)
大橋 洋士 慶應大学, 理工学部, 准教授 (60272134)
今村 俊幸 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (60361838)
松本 秀樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 研究支援者 (40209648)
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Keywords | ハイパフォーマンスコピューティング / 密度行列繰り込み群 / 固有値計算 / 並列計算 / フェルミ粒子 / ハバードモデル |
Research Abstract |
大規模な1次元ハバードモデルを計算できる手法である密度行列繰り込み群(DMRG)法を直接2次元モデル用に拡張するため、2次元モデルの隠れた並列性を見つけ、これを利用した並列化を提案した。この並列化により、DMRG法を利用して2次元ハバードモデルを系統的に高精度で計算することが可能になった。この成果をまとめたものが「J.Phys.Soc.Jpn.」に掲載された。さらに、この並列計算手法を三角格子状のハバードモデル用に改良し、シミュレーションを行ったところ、三角格子ハバードモデルの性質が磁場中のハイゼンベルグモデルと類似していることを見出した。その結果は「Phys.Rev.A」に掲載された。 この並列計算では大量の通信を行う必要があり、現在主流の計算機であるマルチコアクラスタのネットワーク構造には適していないため、その構造を考慮した通信アルゴリズムを提案した。実際に、クラスタ計算機である東京大学のT2Kマシンでその有効性を確認したところ、パラメータによってはこれまでの通信アルゴリズムより2~3倍高速化することを確認した。その結果を「SWoPP仙台2009」で報告した。また、系統的に調査した結果は「日本計算工学会論文集」に掲載された。 また、開発した並列DMRG法を基により詳細の物理量が計算できる動的DMRG法を開発した。この動的DMRG法では連立一次方程式を計算する必要があり、CG法を用いるのが一般的であったが、物理的性質から方程式の係数行列は対称複素行列になるためCOCG法を採用しその有効性を確認した。さらに、COCG法に対する前処理の有効性についても調査を行い、これらの結果を「RIMS研究集会」などの計算科学分野の研究会だげでなく、「日本物理学会年次大会」などの物理分野の研究会においても報告した。
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Research Products
(10 results)