Research Abstract |
(課題1および4)医療オントロジーに基づく情報システムの要件分析手法,および,大規模情報システムの開発現場への適用について: 宮崎大学医学部付属病院における薬剤部門システムの要件分析を医療サービスに関するオントロジーに基づいて行った.より具体的には,薬剤処方などの医療サービスに関する業務プロセス,ユースケース,データモデルを作成するための共通のオントロジーを作成し,そのオントロジーに基づいて要件分析のための各モデルを作成するツールを開発し,実際の開発現場に適用した.このツールによって,用語の揺れや曖昧さを解消しつつ実際の要件分析を完了させることに成功した. (課題2)目的に基づくサービスプロセスのモデル化手法について: 薬剤処方のサービスプロセスを,薬剤などのアウトカムの作成という目的に合わせて自動生成するための手法を研究した.より具体的には,処方箋,服薬指導書,薬袋の構造からアウトカムを生成するまでのアクティビティの組み合わせを計算し,アウトカムの監査および差戻しを含む,サービスプロセスの生成手法を考案した. (課題3)大規模なサービスプロセスのモデル化手法について: H21年度の前半では,非循環なサービスプロセス(ワークフロー)におけるコントロールフローに関する整合性と,ワークフロー上の各アクティビティによって生成,利用,保管または破棄されるエビデンスのライフサイクルの整合性をインクリメンタルに検証するための基礎理論をまとめ,論文として発表した,後半においては,コントロールフローに関する整合性の定義を循環ワークフローに拡張するために,循環ワークフローを引き戻し付き業務フローと見なし,その正規形を定義し,正規な循環ワークフローにセマンティクスを与えた.そして,そのセマンティクスに基づいて循環ワークフローのコントロールフローに関する整合性を定義し,さらに,その整合性をインクリメンタルに検証するための基礎理論と方法論を構築した.
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