2008 Fiscal Year Annual Research Report
静的データ依存関係に基づく命令ステアリング方式に関する研究
Project/Area Number |
20500046
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 健一 Tohoku Institute of Technology, 工学部, 准教授 (50300520)
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Keywords | 計算機システム / 計算機アーキテクチャ / 命令スケジューリング / データフォワーディング |
Research Abstract |
本研究では,コンパイル時の静的解析結果を実行時の動的命令ステアリングに活用することを考えている.今年度は,静的データ依存解析を行なうために,コンパイルされた命令コードを基本ブロック毎に解析するポストコンパイルツールを開発した.このツールは,静的なクリティカルパス予測に基づく付加情報を命令コード中に埋め込むことができる.具体的には,命令が基本ブロック内でのクリティカルパスに含まれているかどうかの情報を各命令コードに付加するものである.付加情報を命令ステアリングに利用できるように,SimpleScalarベースのクラスタ化プロセッサシミュレータを改良した.このシミュレータを用いて,静的データ依存解析に基づく命令ステアリング手法の評価を行った,代表的な動的命令ステアリング手法であるAdvanced RMBS (ARMBS)との比較から,静的データ依存解析による命令ステアリング方式は,ほぼ同等のIPCを達成できることを示した.今回の評価に用いた静的データ依存解析によるステアリング方式は,極めて単純なものであるにもかかわらず,ベンチマークによってはARMBSよりも高いIPCを達成している.これは,静的データ依存解析が命令ステアリングに有効であることを示しており,方式のさらなる改良によりクラスタ化プロセッサの性能を10%程度改善できることを意味している,静的データ解析により,動的ステアリング機構のハードウェアを大幅に削減することも可能になることから,今後の低電力プロセッサヘの応用も期待できる.
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