2009 Fiscal Year Annual Research Report
民俗芸能の舞踊を含む匠の技の伝承技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
20500084
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
玉本 英夫 Akita University, 工学資源学部, 教授 (10108920)
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Keywords | 民俗芸能 / 匠の技 / 伝承技術 / バーチャルリアリティ / コンテンツ・アーカイブ / コンピュータグラフィックス / モーションキャプチャ / データベース |
Research Abstract |
民俗芸能は、祖先の生活風景、心象風景、知恵や知識などが深く反映されている貴重な無形文化財である。しかし、急速な高齢化や地域の過疎化に伴い失伝の危機にある。そこで、本研究では、情報通信技術(モーションキャプチャ技術、バーチャルリアリティ技術(VR)など)を活用して、民俗芸能の舞踊を伝承するための技術の開発を行った。 民俗芸能の舞踊の伝承に資するために、これまで、舞踊をデジタル情報として記録・保存することを行って来たが、これだけでは伝承には不十分であった。教師から生徒へと直接伝承されるときの状況を考えてみると、教師は、1)模範演技を見せる、2)動きの意味や意図を説明する、3)生徒の演技を見て指導する、4)習熟度を評価する、などを行っている。この状況を仮想的に実現するために、本研究では、VR技術を使い、1)生徒の体形モデルが教師の動きで舞踊を演技するCG制作手法(模範演技の提示)、2)生徒の動きと模範演技のCGを並べて表示して比較する手法(演技の評価)、3)演技の動きの意味や意図を解説するCG制作手法(演技の解説)の開発を行った。生徒の体形モデルが先生の舞踊を演じる方が模範演技としては優れている。生徒自身が模範演技と自分の演技を見て違いを感じとり自己評価すること、どの体の部位をどのように動かすかを部位の動きがよく見えるように表示しながら文章や音声で解説することが、伝承の際に効果的であると考えたからである。 本来、踊りは先生から直接学ぶものであるが、以上のような技術の開発によりコンピュータを使って舞踊を効果的に学習でき、民俗芸能の舞踊の伝承を支援できると考えている。今後は、この技術を応用して、伝統工芸の技能、職人の技能など「匠の技」の伝承技術の開発を目指す。
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