2010 Fiscal Year Annual Research Report
民俗芸能の舞踊を含む匠の技の伝承技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
20500084
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
玉本 英夫 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授 (10108920)
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Keywords | 民俗芸能 / 匠の技 / 伝承技術 / バーチャルリアリティ / コンテンツ・アーカイブ / コンピュータグラフィックス / モーションキャプチャ / データベース |
Research Abstract |
民俗芸能は貴重な無形文化財であるが、急速な高齢化や地域の過疎化に伴い失伝の危機にある。そこで、本研究では、モーションキャプチャ(MoCap)技術・バーチャルリアリティ(VR)技術などの情報通信技術を駆使して、民俗芸能の舞踊を含む匠の技の伝承技術の開発を行った。 教師が生徒に舞踊を直接指導するとき、教師は生徒に演技の間違いを指摘しながら指導する。この指導により生徒は間違いを自覚して学習する。平成21年度に提案した伝承技術は、間違いを自覚させるには不十分であった。そこで、平成22年度には、生徒に効果的に演技の間違いを自覚させることを目指した舞踊学習支援システムを開発した。 本システムでは、あらかじめ教師と生徒の演技をMoCapで収録しておく。このMoCapデータで体格を同一にした教師と生徒のモデルが演技する3DCGを重ねて表示する。舞踊の動きには、空間的要素と時間的要素がある。二つの要素に対して間違いを指摘する必要があり、本システムには姿勢とタイミングの二つの比較モードを用意した。姿勢比較モードでは生徒のどの身体部位が教師と比べてどれだけ「曲がっているか/伸びているか」、タイミング比較モードでは生徒の演技が教師の演技に比べてどれだけ「早いか/遅いか」を文章で表示する。また、生徒の演技が教師の演技にどれだけ接近したかを得点でも表示できる。 本システムを評価するために、舞踊を学習中の生徒を対象にして実験を行った。その結果、生徒と教師の演技の3DCGを重ねて表示し間違いをメッセージとして提示することは、教師の映像だけを見て学習するよりも効果的であることが分かった。 本システムを楽器演奏(三味線)の学習にも適用してみた。演奏の間違いは文章では表示できなかったが、3DCGを重ねて表示して見せるだけでも間違いの自覚には効果的で、演奏技術の伝承にも資することがわかった。 以上より、本研究で開発した伝承技術は、民俗芸能の舞踊を含む匠の技の伝承に役立つものと考えられる。
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