2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500108
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
荒木 文明 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球シミュレータセンター, ブループリーダー (90359224)
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Keywords | 可視化 / コンピュータグラフィックス / 写実的表現 / 大規模シミュレーション / 雲形成 / 大気放射 / 並列処理 |
Research Abstract |
超水滴と呼ばれる計算概念を用いた大規模雲形成シミュレーションで得られた大容量データを元に、積雲を写実的に可視化するための手法を検討・考察し、並列処理で積雲を可視化するプログラムの基本部分を開発、大型計算機を用いて可視実験を実施した。 積雲を写実的に表現する場合、光の多重散乱過程を精緻に追跡し各散乱点から観測点へ向かう光の寄与を取り込むことが重要であるが、この多重散乱の計算負荷は極めて高いため、1枚の画像を得るにも膨大な時間を要するという問題がある。データをさまざまな角度から可視化し多角的に解析することが要求される科学的可視化においては、この事実は解析作業に支障をきたしかねないため深刻である。 そこで本プログラムでは、光の多重散乱を追跡する第1段階と、光散乱の各点から観測点へ向かう光の輝度を積分する第2段階で構成することにした。このような構成は、第1段階計算を1回だけに抑えて膨大な計算コストを省きつつも、第2段階処理を異なる複数の観測点から実行し多角的に画像を得るのに有効であると考えられる。なお、一連の処理による可視化は、第1段階における光の各散乱点での入射光情報をデータとして記録し、それを第2段階で利用する手法(フォトンマッピング法)を介することにより達成れる。 本プログラムによる可視化実験には大型計算機(128コア分)を使用し、40ステップ分の時系列超水滴データ(約53.2GB)を可視化した。雲表面の柔らかな質感、濃密な雲に見られるくっきりとした凹凸感、雲の影、降雨の様子など、積雲が成長する一連の過程をリアルに捉えることに成功している。
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Research Products
(3 results)