2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500110
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩谷 幸雄 Tohoku University, 電気通信研究所, 准教授 (10250896)
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Keywords | 聴覚ディスプレイ / 音空間 / レンダリング / 音オブジェクト / 臨場感 |
Research Abstract |
昨年度の研究では, A)音レンダリング技術の高精細化のために, 回折現象のレンダリングおよびB)聴取者の動きに応じた音レンダリング提示法の開発として, 頭部運動に追従する背景音のレンダリング手法について検討を行った. 各項目の主な成果は以下の通りである. A) 音空間レンダリング技術の高精細化 回折音のレンダリングアルゴリズムを検討し, Calamia-Svenssonの手法を改良し, 従来我々が構築してきたソフトウェア聴覚ディスプレイミドルウェアに実装した. パラメータとして聴取者の位置情報及び頭部の方向情報, 音源の位置情報, 及び障壁の配置位置情報を入力することで, 方向特性を付加した回折音を出力する仕様とした. B) 背景音をレンダリングするにあたり, 実環境において録音された環境音の周波数スペクトルを解析し, レッドノイズがそれに近いことが分かった. 次に, レッドノイズに対して, 頭部の動きに応じて頭部伝達関数を用いて空間性を与えた背景音を与え, 両耳間相互相関関数を制御する方法を検討し, 単純に背景音をモノラルで加えるよりも, 音空間の臨場感が向上することがわかった. しかし, この場合には頭部運動の有無による, 効果の向上は有意ではなかった. このため, 空間の一部に音圧の重みを与え, その部分をアンカーとして頭部運動に追従させることをこころみた. その結果, 頭部運動がある場合に, 聴取者の感じる音空間が安定し, 全体の臨場感が向上することが示唆された.
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