2010 Fiscal Year Annual Research Report
逆シミュレーション手法による協調熟練技能の抽出とその継承手法の研究
Project/Area Number |
20500125
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
倉橋 節也 筑波大学, 大学院・ビジネス科学研究科, 准教授 (40431663)
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Keywords | シミュレーション / エージェント / 遺伝的アルゴリズム / モデル選択 / パターン / 温暖化ガス削減 / ネットワーク |
Research Abstract |
1.パターン指向モデリング シミュレーションと実世界を一致させることが、モデルの妥当性を示す上で重要である。従来のシミュレーションモデルは、現象に近似させるために、その現象に注目したモデルパラメータの最適化を行ってきた。しかし、ひとつの現象は他の現象に複雑に関連している。そこで、実社会を複数の視点からを観察するために、マルチパターンの選択を行った。例えば森であれば、上空から俯瞰した森の最上面の植物分布、側面から観察した分布、地面から観察した分布、といったように異なったパターンを持つ。これらのパターンを一括してモデリングパラメータとする手法をパターン指向モデリングと呼び、これに対してパラメータ最適を行う逆シミュレーション手法を提案した。提案手法の評価として、文化資本伝達モデルを構築し、対象となる親族をいくつかに分類した実験を行った。その結果、男性親族と、女性親族を分けた時系列パターンの場合が、もっとも実データに一致するパラメータ最適化が行えることがわかり、本手法の妥当性が示された。 2.フリーライダー問題 協調行動を伴う意思決定をする場合に、フリーライダーが発生してしまう問題がある。特に、協調することにコストを伴ってしまうような社会的ジレンマ問題では、協調行動が阻害される可能性が指摘されており、フリーライダー問題を解決する必要がある。そこで、温暖化ガス排出削減を対象に、環境に対する配慮をするときにコストが発生する問題をモデル化し、フリーライダー発生要因と、それを緩和する対応策の評価を行った。その結果、従来のような罰金と補助金による対策には限界があり、当事者以外の第3者による監視と間接的なインセンティブ提示が有効であることがわかった。 3.ネットワーク問題 情報の伝わり方とそれによる意思決定の判断がネットワーク構造に依存してしまう問題に対し、スケールフリーとスモールワールド、ランダムグラフの組み合わせでの情報伝播について、研究を行った。
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