2008 Fiscal Year Annual Research Report
多方向スキャン方式の斜光線照射型筆圧痕可視化装置の開発
Project/Area Number |
20500171
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
紙谷 卓之 Osaka Sangyo University, 工学部, 講師 (60257889)
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Keywords | 可視化 / 画像処理 / センシングシステム / 電子デバイス・機器 |
Research Abstract |
筆圧痕とは,筆記具の先端部の圧力(筆圧)によって,書字用紙の下に重なっていた用紙に形成された圧痕のことであり,本研究では文書鑑識への応用を目的として,筆圧痕を可視化し,筆圧痕文字の判読を容易にする装置の開発に取り組んでいる.19年度は装置の原型モデルの作製とその機能検証とを行なった. 筆圧痕は非常に浅いくぼみであるため,これを捉えるためには照明光の入射角を90度近くにしなければならないが,通常のスキャナのようにガラス板を介して照射すると,全反射の問題が起こる.そこで,試作装置にはガラス板を介さずに紙面を直接照明し直接撮影する方式を採用した.また,通常のスキャナではガラス板と上からのカバーで用紙を挟みこんで固定し,下方から照明と撮影を行なうが,上述の理由によりその方法が使えないため,試作装置では吸引ポンプを備えたセラミック多孔面吸着台により用紙を裏面から吸い付け,用紙上方から照明と撮影をする方法を採用した.スキャナのテーブル上に角度制御が可能な回転テーブルを取り付け,さらにその上にこの吸着台を取り付けることにより,用紙上面に邪魔な影を形成するような冶具を一切設けることなく,回転テーブル上での用紙の固定を可能にした. 試作装置によっていくつかの回転角において原稿(筆圧痕のある用紙)をスキャンし,得られた画像群の向きを画像の回転処理によって全て揃え,これらを画像間乗算により1枚の画像に合成した.その結果,様々な方向に伸びた筆圧痕線群を1枚の画像上に集約することができ,判読可能な文字を画像上に合成できることを確認した.
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