2009 Fiscal Year Annual Research Report
MRI環境対応外科手術ロボットに対する医療ミス回避制御システムの構築
Project/Area Number |
20500183
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 千春 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 准教授 (80296079)
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Keywords | 外科手術用ロボット / 多自由度ロボット鉗子 / 低侵襲外科手術 / 力フィードバック / バイラテラル制御 / モーションスケーリング / 医療ミス回避 / 安全性 |
Research Abstract |
本年度は、研究目的(1)「力覚の伝達が可能な外科手術ロボット鉗子システムの開発」に対して以下の手順で実施した。 [a]製作した把持部両ばさみ機構を多自由度ロボット鉗子に実装し、動作の検証を行ったところ、屈曲状態において屈曲動作と把持開閉動作が干渉してしまい、更なる改良が必要であることが判明した。 [b]昨年度提案した、受動性理論に基づく1自由度のバイラテラル制御系を2つ構成し、座標変換を導入することにより、全方位の屈曲動作に拡張する手法を確立した。さらに、一定の通信遅延に対してだけではなく、時変の通信遅延に対しても安定性を保証するようにバイラテラル制御則を拡張した。シミュレーションにより、提案した制御則の有効性を確認することができた。現在は、実験による検証を継続中である。 [c]マスタ装置の改良点としては、把持部の開閉の操作性を向上させるため、はさみの柄を用いて、親指と人差し指で開閉を操作できる機構とした。また、鉗子先端の回転はジョイスティックの回転により操作し、それぞれに取り付けられたモータにより反力を再現する。 研究目的(2)「外科手術ロボット鉗子システムに対する医療ミス回避制御システムの構築」は、以下の手順で実施した。 [d]周波数解析の結果、手術治療動作のような複雑な動作に対して直ちに「医療ミス回避制御システム」を構築することは困難であることが判明したため、鉗子の操作を把持・剥離・圧排・牽引の4動作に限定し、鉗子に貼り付けたひずみゲージの測定値からこれらの動作識別を行い、さらに筋電位による測定データから特異性特徴ベクトルを構成し、経験の浅い医師が行うであろう特異性のある動作を識別する手法を提案した。今後は提案した手法を外科手術ロボットシステムに適用し、「医療ミス回避制御システム」を構築する。 [e]本年度の研究で得られた成果を、国内学会で4件、および国際学会で4件公表した。
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