2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネスティッドアトラクタによる自己相似理論モデルの構築と長期記憶経済時系列への展開
Project/Area Number |
20500200
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松葉 育雄 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (30251177)
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Keywords | フラクタル / 非線形工学 / 長期記憶 / 経済時系列 |
Research Abstract |
平成21年度は主に,購入したワークステーションを利用して,主たる対象である経済データをとり上げ,そのスケーリング特性を顕著に示す長期記憶性を,大規模シミュレーションを実行することで徹底的に調べた.(1)スケーリング特性を示す各種のデータから,非線形システムの重要性を検証する.特に,本年度の前半では各種の経済データを収集し,予備的な研究としてその長期記憶性などスケーリング特性の多様な性質をシミュレーションで調べ,自己相似性の特徴を整理した.非線形モデルとしてカオスの可能性を追求するとともに,スケーリング特性を持ったマクロな経済時系列が,ミクロな挙動のいかなる特徴に依存するかを調べた.特に注目すべき従来の研究によると,線形要素の大規模な集団的挙動が,ある種の環境において長期記憶が生じる可能性が指摘されているが,これはミスリーディングな理論で,小規模な集団的挙動においてもスケーリング特性を導く理論が必要がある.経済データを精査することで,このような考え方の正統性を考察した.(2)経済データ,脳の動特性データなどから予想される,階層的なアトラクタがスケーリング特性を導くであろうという予想のもとに,それを具現化するシステムを構築し,非線形システムとしての特徴を調べた.そこでは,非線形性,相互作用,しきい値機能など,どのような仕組みがネスティッドアトラクタを構成するか,理論的かつシミュレーションを通じて研究した.また,得られた理論モデルから時間空間的挙動からスケーリング則を確認した.
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