2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネスティッドアトラクタによる自己相似理論モデルの構築と長期記憶経済時系列への展開
Project/Area Number |
20500200
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松葉 育雄 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 教授 (30251177)
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Keywords | 自己相似 / 非線形工学 / 長期記憶 / 経済時系列 / アトラクター / フラクタル |
Research Abstract |
最終年でには,スケーリング特性を与える一般的なメカニズムを与えるモデルとしての要件を抽出し,シミュレーション結果と合わせて個別の現象を取り上げて再検討した.さらに,大規模シミュレーションの結果を理論構築ヘフィードバックさせることでより確実なモデル手法になり得るよう,従来の方法も包含した非線形工学の特徴ある手法として,かつ,実際の道具として提供しうるモデル構築法として確立すべく推進した.その結果アトラクタが入れ子構造となったネスティッドアトラクタが,スケーリング特性を生むメカニズムの候補として有望となることを明らかにした.研究成果は論文として纏めるだけでなく,書籍などを通じて,研究者あるいは技術者に提供できるようにする.複雑現象を扱うフラクタル手法あるいは自己相似変換群は,複雑に見える現象からある種の不変な挙動を取り出す方法である.非線形で複雑な様相を呈する問題ではどのようにモデル化し,さらにどのようなアプローチで解を見つけるかは,問題の複雑さにも関係するが,統一的に確立された方法は未だ存在しない.本研究の目標は従来の現象論的な立場からの研究を進めて,複雑さの重要な指標としてのスケーリング特性を導くメカニズムに着目して,一般的なモデルを構築することで,複雑系を対象にした方法論の指針を与えることである.本研究のように,具体的に複雑な現象の特性を引き出すメカニズムあるいはモデル構築の従来の研究は見当たらず.実際に役立つ手法として体系化できれば,経済のみならず非線形工学の発展に貢献しうるものと確信している.
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