2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500204
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
泰中 啓一 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (30142227)
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Keywords | 格子ロトカボルテラ模型 / 数値シミュレーション / 生物進化 / 酵母菌 / 最適化 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
これまで代表者らは、個体ベースのシミュレーションモデルとして、「格子ロトカボルテラ模型」を開発し、格子上で生物の出生と死亡プロセスを行ってきた。 本年度は、新しい生態系動態予測手法の研究開発を目的としてきた。近年の気候変動や人間による開発は、生物の適応に大きな影響を及ぼしている。生物の適応プロセスを正しく把握するためには、個体群動態を正しく記述する必要がある。しかし、現状の生態系動態予測手法を使うと、共生系に対して、個体数が無限大に発散してしまう。格子上の生物を想定し、個体ベースの第一原理から出発すると、発散が回避でき、基本モデルが開発できることが分かった。共生系の基本方程式は、現実の共生系の個体群動態をうまく説明する。また過去の共生系方程式よりも、はるかにシンプルである。ただし、もっと多くのデータによって検証する必要がある。 とくに酵母菌(yeast)の研究について述べる。酵母菌をフラスコの中で培養すると、指数増殖の後、密度が高くなると増殖が停止する(密度効果)。最近我々は、シミュレーションによって密度効果を研究した。すなわち、細胞を単離すること無く、高密度状態を調べた。その結果、密度効果の開始時に、「娘細胞の増殖停止」と「母細胞の集団破裂」が同時(一斉)に起きることを発見した。これらの2種類の増殖停止現象を、はじめ格子シミュレーションによって予測した。その後、実験によって、「母細胞の集団破裂」が確認された(PLoS One,2011)。この論文の内容は、国際会議招待講演によって紹介した。
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