2009 Fiscal Year Annual Research Report
自然現象のパターン形成機構による計算機視覚のための反応拡散アルゴリズム系の構築
Project/Area Number |
20500206
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野村 厚志 Yamaguchi University, 教育学部, 准教授 (40264973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 耕一 山口大学, 大学教育センター, 助教 (50452636)
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Keywords | 自己組織化 / ソフトコンピューティング / 情報工学 / 画像処理 / シミュレーション工学 |
Research Abstract |
今年度は、反応拡散方程式を用いたエッジ強度の検出アルゴリズムと、反応拡散アルゴリズムの高速計算のための並列処理アルゴリズムを提案した。 本研究の目的は、自然の中でしばしば観測されるパターン形成過程を記述する反応拡散方程式を用いて、初期視覚の数理モデルを構築することである。人間の初期視覚系には、エッジ検出やステレオ視差検出などの機能が備わっており、それらは相互に結合され、視覚情報の統合系の存在が予想されている。そこで我々は、既に提案しているFitzHugh-Nagumo型の反応拡散方程式を用いたステレオ視差検出アルゴリズムに、濃淡パターンのエッジ情報を統合するため、新たな反応拡散方程式を用いたエッジ検出アルゴリズムを提案した。そのアルゴリズムでは、エッジの位置情報を検出するだけでなく、急激に変化するエッジや緩やかに変化するエッジなど、エッジの強度をも検出可能とした。なぜならば、エッジ強度は奥行き情報を含む場合があり、ステレオ視差検出へのエッジ情報の統合において、有用な情報となると期待できるからである。具体的には、FitzHugh-Nagumo型の反応拡散方程式に単純な拡散方程式を組み合わせたものを基本とし、これを複数組用いて相互に結合させることでエッジ強度検出を行うことを可能とした。ここで、拡散方程式を付加した理由は、様々なエッジ強度に対して反応拡散方程式が選択的に働くようにするためである。 以上のようなアルゴリズムを実現する上で、計算時間の問題が無視できなくなってきた。特に、ステレオアルゴリズムにおいてもエッジ強度検出アルゴリズムにおいても、偏微分方程式で記述された複数組の反応拡散方程式の時間発展を数値計算する必要があり、膨大な計算時間を要するようになった、そこで、これらのアルゴリズムに、並列処理を取り入れた。その結果として8CPUを用いた場合、計算時間を約1/4に短縮可能であることを確認した。
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Research Products
(2 results)