2008 Fiscal Year Annual Research Report
進化計算法におけるミクロ-マクロ型相互作用の定式化とその経済システムへの適用
Project/Area Number |
20500215
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松井 和宏 Nihon University, 工学部, 講師 (30303530)
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Keywords | 進化計算法 / 遺伝的アルゴリズム / 経済指標予測 |
Research Abstract |
本研究は、進化計算法における系の構成要素のミクロレベルでの相互作用と、そこから生じる系全体での秩序形成というマクロレベルでの影響について考察し、その結果を経済系の問題領域に適用するものである。今年度はその基礎として、ミクローマクロ相互レベルの関係について研究を進めるとともに、基礎的な経済モデルへの適用を試みた。 第一に、ミクローマクロの相互関係については、進化計算法における局所探索の有効性について検討した。局所探索は従来の進化計算法において軽視されていたミクロレベルの操作であるが、系の構成要素のミクロな探索において有効であるだけでなく、その効果が系全体に波及することによってマクロレベルでの探索にも好影響を及ぼすことをベンチマーク問題において確認した。 第二に、基礎的な経済モデルへの適用については、株式市場における自動取引戦略獲得を例として検討した。具体的には、遺伝子座表現と対立遺伝子表現という2種類の遺伝子表現法を用いて、株式市場における自動取引のための指標獲得手法を進化計算法によって構築した。実験の結果、遺伝子座表現より対立遺伝子表現の方が優れた性能を示すことを基礎的な実験によって確認した。これは、遺伝子座表現ではミクロレベルでの適合性のみを重視しており、冗長な指標が増えやすいという欠点があるのに対し、対立遺伝子表現ではマクロレベルでの適合性を考慮に入れており、本質的に重要な取引指標を獲得することができるためである。
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