2010 Fiscal Year Annual Research Report
進化計算法におけるミクロ-マクロ型相互作用の定式化とその経済システムへの適用
Project/Area Number |
20500215
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松井 和宏 日本大学, 工学部, 講師 (30303530)
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Keywords | 遺伝的アルゴリズム / 進化計算法 / マクロ適応度 / 近傍評価 |
Research Abstract |
本研究は、進化計算法における系の構成要素のミクロレベルでの相互作用と、そこから生じる系全体での秩序形成というマクロレベルでの影響について考察し、その結果を経済系の問題領域に適用するものである。 本年度は、ミクロ-マクロ相互レベルの関係について、進化計算法における構成要素の新しい評価法として近傍評価法を提案し、その有効性について検証した。従来の進化計算法においては、系の構成要素は単独で評価されるのみであり、他の構成要素との相互関係は一切考慮されていなかった。それに対して近傍評価法では、系における近傍関係に着目し、周辺に位置する要素との相互関係を考慮して評価を行う。これによって従来法におけるミクロレベルのみでの評価から、近傍評価法によるマクロレベルでの評価を実現する。 さらに、経済系への近傍評価法の適用事例として、株式市場における自動取引戦略獲得について検討した。既存の研究においては、単一のパラメータセットというミクロレベルの視点に基づいた探索しか行われていなかったことに着目し、近傍評価法を導入した進化計算法の優位性を実験によって示した。既存研究においては、オーバーフィッティングが原因となって訓練時とテスト時の性能に大きな差が生じることが知られている。本研究では、探索空間中での近傍に位置する複数のパラメータセットをマクロレベルで総合的に評価することで、訓練におけるオーバーフィッティングを緩和することが可能であることを実証した。これが近傍評価法を導入する利点である。
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