2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 秀幸 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (30332589)
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Keywords | 情報セキュリティ / 相互依存性 / 産業連関表 / 東日本大震災 |
Research Abstract |
情報セキュリティの相互依存性に関する分析を2つの観点から行った。第1は、地域的な相互依存性に関する分析である。具体的には、全国を9つのブロックに分け、経済産業省が公表している地域間産業連関表(2005年度)を用いるとともに、民間企業資本ストックとIT資本ストック、県民経済計算、情報処理実態調査に基づき、地域別のIT資本ストックを推計して、ある地域のIT資本ストックが毀損した場合に、日本国内の他地域にどのような影響を与えるかについて分析した。特に、東日本大震災が発生した東北地域についてみれば、東北域内及び関東地域との相互依存性が高いことがなどが明らかになった。 第2の観点は、時系列分析である。具体的には、全国レベルの産業連関表と上述のIT資本ストックや情報処理実態調査データに基づき、2004年度~2008年度までの5年間について、108部門の業種を対象に分析を行った。その結果、業種によって異なる傾向があることが確認された。例えば、金融業についてみれば、経済活動のレベルでは、他の業種との相互依存性の水準は、当該5年間で大きな変化はみられない一方で、情報セキュリティの観点からみると、相互依存性の水準が高まっていることが明らかになった。金融業は、情報セキュリティ対策は他業種と比較して高いレベルにあるものの、近年、IT資本ストックの割合が高まっていることで、このような結果になったことが確認された。 これまでの、情報セキュリティの観点からみた経済的な相互依存性に関する実証分析を踏まえて、日本国内の総合的な情報セキュリティ水準を向上させるには、相互依存性の観点からも業種や地域の特徴に着目することが重要であることなどについて考察した。
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