2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500234
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
内海 彰 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (30251664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 真樹 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (80302826)
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Keywords | 認知科学 / 人工知能 / 実験系心理学 / 比喩 / 潜在意味分析(LSA) / 意味空間 |
Research Abstract |
本研究は多様な比喩の理解・鑑賞過程(特に,今まで研究されてこなかった動詞・形容詞隠喩の理解過程)を心理実験と計算機シミュレーションによって解明することを目的としている.本目的に対して,平成22年度の研究成果は以下のとおりである. 1.動詞・形容詞隠喩の理解過程の解明:動詞隠喩に関しては前年度に実施したプライミング実験の結果に基づき,間接的(二段階)カテゴリー化による理解モデルの妥当性について考察し,学会発表を行った.形容詞隠喩に関しては,我々が明らかにしてきた形容詞隠喩が否定的な意味を喚起しやすいという現象について,実際に心理実験を通じて動詞隠喩や名詞隠喩との比較を行った.その結果,喩辞の意味が中立のときには,形容詞隠喩が動詞隠喩や名詞隠喩に比べて有意に否定的な意味が喚起されやすいことを示した. 2.複合名詞句の理解過程の解明:前年度に引き続いて,日本語の複合名詞句だけではなく英語の複合名詞句についても,複合名詞句の理解過程のモデルとして比較モデルが妥当であることを,LSAに基づくシミュレーション実験によって示した.さらに,ベクトル拡張(dilation)モデルが理解モデルとして妥当であることも明らかにした. 3.意味空間モデルと最尤法を用いた名詞隠喩の理解過程の解明:名詞隠喩の理解過程に関する3種類の仮説(適切性理論,慣習性理論解釈多様性理論)のどれが適切かを,LSAによる意味空間モデルと最尤法に基づいて検討した.その結果,解釈多様性理論が最も妥当性が高く,慣習性理論も妥当性が高いことが明らかになった. 4.意味空間モデルの性質の解明:意味空間を構成する行列の計算方法(文書における単語頻度,単語間の共起頻度)の違いによって異なる種類の意味関係が表現されること,PPMIによる重み付けを行うと単語間の共起頻度による手法がすべての意味関係を適切に表現できるようになること,NMF(非負行列分解)法によって生成される意味空間がLSAによる意味空間に比べて性能が劣ることなどの知見を得た.
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Research Products
(13 results)