2008 Fiscal Year Annual Research Report
語彙獲得過程における単語の分節化・認知・語形変化の包括的学習モデルの構築
Project/Area Number |
20500237
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
牧岡 省吾 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 准教授 (60264785)
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Keywords | 認知科学 / 実験系心理学 / 語彙獲得 / ニューラルネット |
Research Abstract |
言語研究の最終目標の一つに,実際に言語を獲得し,文の理解と産出が可能であるようなシミュレーションモデルを構築することがある.本研究は,そのような長期的目標に向けて,脳内の言語処理過程の基盤を明らかにすることを目指す,研究代表者は,これまでの研究において,文を単語へと分節化する過程と分節化された単語を認知する過程を包括的に扱うニューラルネットワークモデルを構築した. 本研究では以下の3点についてモデルの改良と拡張を行う.1)成人に新奇な音素系列を聞かせて分節化させる心理実験を行い,モデルの学習アルゴリズムの妥当性について検証する.2)心理実験の結果をもとに,モデルの学習アルゴリズムを改良する,さらに,各種のパラメータについて見直しと調整を行うことにより,より人間に近いパフォーマンスが得られるようにモデルを改良する.3)本モデルは単語に該当する部分を抽出するために文パタン同士の比較を行うが,このような学習アルゴリズムは,過去形などの語形変化の規則を導出することにも適用可能である.同じ単語の過去形や現在形など様様な変化形を含む複数の文を比較することにより,語形変化の規則を導出できるようなメカニズムを明らかにする. 平成20年度中に心理実験によるモデルの検証を行う予定であったが,より心理学的・生理学的妥当性の高いネットワーク構成に関する着想を得たので,平成20年度中はモデル改良の作業を行った.その結果,モデルの妥当性を高めるだけでなく,分節化学習の成績もより向上させることができた.先行研究と比べていくつかの点で優れた説明力をもつモデルを構築できたので,現時点までの成果について論文を執筆中である.
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