2008 Fiscal Year Annual Research Report
非言語情報に基づく他者意図理解が語意推測に果たす役割
Project/Area Number |
20500241
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小林 春美 Tokyo Denki University, 理工学部, 教授 (60333530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 恵子 東京未来大学, こども心理学部, 准教授 (80326991)
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Keywords | 他者意図理解 / 非言語情報 / 語意推測 / 語用論的解釈 / 自閉症 / 指示詞 / 共同注意 / グループ指導 |
Research Abstract |
共同注意時に語用論的解釈が可能なタイミングの検討を,健常の2歳,4歳,大人を被験者とする実験により行った.新規な事物を2つ提示し,子どもが選択したそのうちの1つについて名称を与えるタイミングを,子どもが事物に注意をし始めてから発話直後と10秒後の2つの条件で比較した.結果,10秒後では相手の視線を確かめることなく正しく相手が注意している方の事物を選択できる傾向があり,それは発達とともに高まることがわかった.下位カテゴリー名称の理解について,事物カードを示しパペットが2歳児,4歳児,大人に名称を教えるという実験を行った.一定の言語形式が話し手の意図すなわちサバはサカナの下位カテゴリー名称であることをよりわかりやすくする可能性と,他にも下位カテゴリーの事物が存在するという環境の要因が関与する可能性を検討し,いずれも影響を与えることを確かめた.指示詞コ・ソ・アの表出と理解の面から,自閉症児の語用論的能力の具体的な特徴を把握し,その特徴に関連する要因を検討した.結果,自閉症児のなかには,指示詞の発話や理解において独自の特徴が見いだされた.この特徴は,自閉症児の対人志向性の乏しさや,話者の視線や指さしといった非言語情報から他者の意図を読み取ることの困難さなどとの関連が示唆された.自閉症児と親への支援と情報収集に関する活動では,医大へ通う自閉症をもつ子どもたちへのグループ指導の実施及びその保護者からの各種相談に応じた.他者の事物に対する動作から他者意図を,子どもたちがどのように推測しているかという観点から,グループ活動場面や自由遊び場面での,子どもたちの様子を観察し記録した.
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Research Products
(16 results)