2009 Fiscal Year Annual Research Report
非言語情報に基づく他者意図理解が語意推測に果たす役割
Project/Area Number |
20500241
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小林 春美 Tokyo Denki University, 理工学部, 教授 (60333530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 惠子 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (80326991)
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Keywords | 他者意図理解 / 非言語情報 / 語意推測 / 語用論的解釈 / 自閉症 / 指示詞 / 共同注意 / グループ指導 |
Research Abstract |
指さしの指示対象を幼児と成人はどのように理解するかについて,指示部分に対し人差し指で円を描くように動かす「円運動指さし(pointing with circular motion)」と,指示部分に対し繰り返し指を振る「タッピング指さし(pointing with tapping)の効果を調べた.定型発達の2歳児ではすでに本研究で示されている単純な接触指さしの理解が難しかったこととは異なり,円運動指さしによる理解は容易であり,タッピング指さしもある程度理解できることがわかった. 共同注意時における指示対象の理解について,定型発達の1歳,2歳,3歳児と成人を被験者とし個別実験により比較し,さらに視線の動きをビデオ分析により調べた.2歳から3歳にかけて会話の流れの中で指示対象を推測する語用論的解釈を行うように変化することがわかった.3歳児の解釈パターンは成人のパターンと近似しており,3歳児ですでに大人に近い解釈を行う能力があることがわかった. 自閉症をもつ子どもたちへのグループ指導の実施及びその保護者からの各種相談に応じた.このことにより,これらの子どもたちおよび保護者が各種実験に協力してくれるような環境づくりを行うとともに,他者の意図理解における問題点の抽出を行った. 他者の事物に対する動作から他者意図を,子どもたちがどのように推測しているかという観点から,グループ活動場面や自由遊び場面での,子どもたちの様子を観察し,記録した.具体的には,話し手の言語による指示と非言語による指示(視線による指示や指さしによる指示)が異なった場合,かれらが,話し手の指示対象をどのように特定するかということを調べた.その結果,非言語よりも言語を手がかりとして,指示対象を特定する傾向が強いことが示唆された.このことは,定型発達者が非言語を主な手がかりとすることと対照的であった.
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Research Products
(12 results)