2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミック・タッチによる身体軸の知覚と、その成否が姿勢制御に与える影響
Project/Area Number |
20500243
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三嶋 博之 Waseda University, 人間科学学術院, 准教授 (90288051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 昌夫 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (40367694)
古山 宣洋 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (20333544)
杉山 智久 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 講師 (60410734)
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Keywords | 生態心理学 / 姿勢 / 重心動揺 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究では、ヒトの運動や姿勢の制御において重要であると考えられる身体軸の知覚について、それが自身の身体に関する探索的なダイナミック・タッチによって行われていると仮定し、(1)安定した身体軸を獲得する上での必要な知覚的探索運動(ダイナミック・タッチの過程)の特徴を明らかにすること、および(2)探索による身体軸の発見がヒトの姿勢制御の安定化に確かに貢献するか否かを明らかにすることを目標として、段階的な実験によりこれらを検討するものである。その端緒として、平成20年度は、「腹筋」や「背筋」の強化を目的として行われる通常の筋力トレーニング(表層筋を主として意識させ、また活性すると考えられる、「遂行的」な活動)と、リハビリテーションの場面において施術者から施される全身の「ゆすり運動」(深層筋を主として意識させ、また活性すると考えられる、「探索的」な活動)が、姿勢の安定に及ぼす影響について検討した。 実験は、健常な成人を対象とし、通常の筋力トレーニング(「腹筋」および「背筋」)と、全身の「ゆすり運動」をそれぞれ行う前と後で、直立姿勢(閉眼)での足底圧中心分布(COP)が計測された(20Hz,15秒)。COPに関する時系列データを、再帰性定量化分析(Recurrenoe Quantification Analysis; RQA)の手法を用いて解析したところ、運動の複雑性に関連する指標の一つ(Entropy)について、「ゆすり運動」を施した後において上昇する(複雑性が増大する)傾向があることが示唆された。これは、「ゆすり運動」によってもたらされると考えられる深層筋の意識化により、より柔軟で動的な姿勢調整が行われるようになった可能性を示していると解釈できる。次年度以降の追加実験において、この事実の検証作業を継続して行う。
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