2008 Fiscal Year Annual Research Report
図の読解研究へ連絡する、グラフィック表現の高次情報の形式意味論
Project/Area Number |
20500244
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
下嶋 篤 Doshisha University, 文化情報学部, 教授 (40303341)
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Keywords | 推論 / 問題解決 / 図の読解 / 図的推論 / 形式意味論 |
Research Abstract |
認知心理学においては、図のいわゆる「高次情報」の重要性が指摘されていたが、図の意味論的研究においては顧みられることが少なかった。このため、形式意味論的な取り扱いが可能な図情報の範囲が限定的で、図が担う情報のうち、厳密にどの範囲が高次情報にあたるかについての基準は明確ではなかった。このため、図の読解時に発生する認知タスクの詳細は明らかでなかった。 そこで、本研究では、図がもつ高次情報を、日常的なグラフィック表現系めケーススタディを通じて意味論的に分析することを目的とする。これにより、図の読みやすさに関するPinkerの仮説や、図読解の熟達を高次情報の処理能力とみなす仮説を、詳細に検証する実験的研究に貢献すると考える。また、従来の意味論研究で対象にされてきた、ベン図やオイラー図、制約図といった、比較的な単純なグラフィック系を越えて、地図や統計図、グラフなど、複雑であるが一般性の高いグラフィック系の意味機能が明らかになることが期待される。 その方法として、本研究は、選択するためのケース調査、グラフィック系で表現される情報を洗い出す図情報サーベイ、高次情報を中心とした図情報を意味論的に分析する図情報分析という3つの段階を経て行われる。 平成20年度は、配列図がもつ高次情報の分析を行うための準備として、配列図のより基本的な推論機能を視線計測データを用いて検証した。その成果は、Cognitive Science Society年次大会、Diagrams国際学会において発表され、後者においては最優秀論文賞を授与された。
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Research Products
(5 results)