2010 Fiscal Year Annual Research Report
図の読解研究へ連絡する、グラフィック表現の高次情報の形式意味論
Project/Area Number |
20500244
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
下嶋 篤 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (40303341)
|
Keywords | 推論 / 問題解決 / 図の読解 / 図的推論 / 形式意味論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、図の読解過程に関する認知心理学的研究では重視されながら、図の意味論的研究では顧みられることがなかった図がもつ高次情報を、日常的なグラフィック表現系のケーススタディを通じて意味論的に分析することである。とくに、一般性の高い(特定の使用者群を想定せず、読解に特殊な専門的知識を要しない)グラフィック表現系に焦点をあてたケーススタディを行い、図が表示する高次情報にどのようなバラエティがありうるのかを、平行抽象モデルに基づく情報論的な観点からを明らかにする。本年度はとくに、特定の読解課題を課したときに、人間が与えられた図のどこを注視するかについての仮説を立て、最近の注意研究における対象ベース注意や視覚的インデクスの理論を参照しながら、図から高次情報を読み取るプロセスを視線データに基づいて分析した結果を、図の理論と利用に関する第6回国際大会(Diagrams 2010)と空間認知国際学会2010(SC '10)において発表した。また、日本認知科学会大5回大会において「」と題するワークショップを主催し、図的推論研究における視覚研究者と意味論研究者の協働のあり方を模索した。とくに本課題において見いだした先の仮説の意味と妥当性について再検討し、テキストに表示された情報の読解を推論中心読解(inference-centered reading)と位置づけた上で、図をはじめとする空間的表現の機能が知覚・注意操作によって推論を代替する知覚中心読解(perception-centered reading)を可能にすることであるという、より具体的な仮説へと発展させた。
|