2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500246
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
本多 芳子 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (50142154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 節夫 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (30160253)
児玉 亨 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20195746)
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Keywords | ドーパミン / 多動性 / 光環境 / 発育 |
Research Abstract |
発育過程における環境、特にホルモン分泌、成長因子放出等に深く関わる生体リズムに強い影響力を持つ光環境に着目(光環境は近年子供の夜更かしとそれに伴う夜間高照度への被爆が問題提起されている)、ラットとマーモセットを用いて出生後から光被爆環境を変えることで、成長後の行動への影響を調べている。 1)ラットを用いた実験 (1)新生児期からのドーパミン長期被爆と多動性の検討 生後40日までLD12:12(通常の環境)およびLD1:1(1時間ごとに明暗を繰り返す)の環境で飼育し光環境の違いが多動をもたらす事を確認した。さらに妊娠ラットからリタリン経口摂取で飼育し、出生後も長期にリタリンを投与し続けたラットの行動量および体重、食餌量等を経時的に観測した。両群で体重、食餌量等に変化はなく,リタリンへの嗜好性も見られなかった。オープンフィールドにおける検討結果として、6週齢までリタリンを飲み続けても多動性は見られなかったが、12週齢まで続けると立ち上がり回数、ライン越え回数など多動性の指標に増加が見られた。 (2)生理活性物質の測定 成熟後(12週齢)にオープンフィールドによる新奇場面での脳内ドーパミン量の変化を検討した結果、オープンフィールド中の多動が見られた時期でもドーパミンの変化は有意に増加していなかった。さらに例数を増やし検討中である。また、脳組織中では12週齢でドーパミンとともにセロトニンの増加がみられ、メカニズムの検討中である。 2)マーモセットの実験 当研究所動物実験施設、基盤研究部門、徳野研究員との共同でマーモセットの安定供給を進めた。本年度は15頭を供給、ラットの研究を霊長類に発展させるため光環境の違いによる生育後の学習過程の実験を開始した。 光被爆実験の開始と行動観察 一腹から得られた新生児(通常3頭)を正常な光環境およびラットの実験で得られた行動異常を起こしやすい人工的環境(条件1:恒常明、条件2:恒常暗(ディムライト下)、条件3:通常環境(LD12:12)とで飼育し経過を観察中である。 (1)恒常明で飼育されたマーモセットは週齢とともに周期を短くするフリーランを示した。パイロット実験の結果では成長後の学習に障害が起こる傾向がある。本年実験飼育したマーモセット群が来年度以降1年齢に達してくるので,順次実験に供され,学習への影響を検討する予定である。 (2)社会性の検討:農工大(中村俊教授ら)とともに、上記の3つの光環境で飼育・生育したマーモセットの社会性への検討を開始した。例数が少ないが他の個体への反応が恒常明環境下で飼育されると変化する事がわかってきている。
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Research Products
(7 results)