2009 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル密度推定の平滑化パラメータ選択の統計理論とその応用に関する研究
Project/Area Number |
20500248
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿沢 佳秀 Hokkaido University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (30281778)
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Keywords | 定常過程 / スペクトル密度 / カーネル密度推定 |
Research Abstract |
本研究のターゲットは(ベクトル値)定常時系列のスペクトル密度(行列)関数であり、ノンパラメトリック推定法において漸近バイアスと漸近分散のトレードオフ関係をコントロールする平滑化パラメータの選択に注目した。多くの平滑化法の中から「一般化ベルンシュタイン法」を研究対象として、提案される密度推定量の漸近バイアス・分散公式を導出することに成功(昨年度の研究成果として、その一部を本年度の秋の日本数学会の統計数学分科会で報告した)しており、本年度はそれをもとにして計算されたAMISEによる性能比較を詳細に検討した。当初は一般化ベルンシュタイン法に必要な第2平滑化パラメータを標本数に無関係に考えていたが、標本数に依存してもよい状況下においてもAMISE公式を導出することに成功し、その結果、第2平滑化パラメータが1(なお、第2平滑化パラメータが1のときは古典的なベルンシュタイン推定量になる)より大きいときAMISEは増加関数になり、標本数とともに発散するときにはAMISEのオーダーが0.8にならないことも分かった。従って、一般化ベルンシュタイン法が古典的なベルンシュタイン法をAMISEの視点で改善するとしたら第2平滑化パラメータは1以下の正数でなければいけないから、その範囲におけるAMISEの最小化問題を解くことで一般化ベルンシュタイン法の数理がみえてきた。また、漸近理論を支持する数値例も検討した。このような方向での研究成果に対して論文を専門雑誌に投稿しており、現在その改訂版が審査されている段階である。
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