2010 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル密度推定の平滑化パラメータ選択の統計理論とその応用に関する研究
Project/Area Number |
20500248
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿沢 佳秀 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (30281778)
|
Keywords | 定常過程 / スペクトル密度 / カーネル密度推定 |
Research Abstract |
本研究のターゲットは(ベクトル値)定常過程のスペクトル密度(行列)関数である。密度関数をノンパラメトリックに推定する際に漸近バイアスと漸近分散とのトレードオフ関係を制御する役割をもつ平滑化パラメータを選択する数理統計理論に注目し、特に、多くの平滑化法の中から「一般化ベルンシュタイン法」を中心に研究を進めた。(1)ベルンシュタイン法の漸近理論に不可欠な数学事項を整理した。具体的には、2項分布の確率関数の積の和の近似公式の誤差評価をするため独立な格子点分布の和の分布のBerry-Esseen型評価法の技術を様々な状況下で応用した。(2)専門雑誌へ昨年度に投稿していた改訂版の審査待ちに対して、今年度の夏にさらにマイナーな修正を加えたものが採択された。本研究プロジェクトの核として、専門雑誌Statistical Methodologyで「一般化ベルンシュタイン多項式に基づいたスペクトル/確率密度推定量を提案し、それらの漸近バイアス、分散、MSE/MISE公式及び漸近正規性」を公表した。(3)非対称カーネル法及びベルンシュタイン法による確率密度推定量の漸近バイアスのオーダーを改善した推定量の漸近分散公式を導出することも試み、また非対称カーネル法及びベルンシュタイン法の異なるタイプを統一的に議論することに着手した。(4)ベルンシュタイン法は、スペクトル密度関数のような周期関数または台を有界区間とする確率密度関数の推定に応用されたが、(2)(3)のテーマは半無限区間で定義された関数の推定問題へ拡張できるはずだから、半無限区間の場合の密度推定の文献調査をした。なお、(3)(4)については今後それらの細部について検討し整理する必要がある。
|