2010 Fiscal Year Annual Research Report
エシェロン階層情報に基づく時空間データの分析とその応用
Project/Area Number |
20500258
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
栗原 考次 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20170087)
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Keywords | エシェロン解析 / 時空間情報 / ホットスポット / 分類 / 階層構造 / 森林生態学 |
Research Abstract |
平成22年度は、以下のテーマについて集中的に研究を行った。 1.空間医療データのホットスポットの検出 2.樹木の空間位相構造 3.空間データの階層構造の信頼性について 1.空間医療データのホットスポットの検出 本研究では、日本の上位4大死亡原因「悪性新生物」、「心疾患」、「脳血管疾患」、「肺炎」による都道府県別死亡データに対して、年齢構成を調節した指標SMRを用いたEchelon解析で求められた階層構造に基づき、疾病毎の定時点及び時系列的に地域が変化するホットスポットを検出した。さらに、4変量データのホットスポット検出のために、寄与率の高い低次元主成分空間においてボロノイ分割に基づき隣接情報を定義し、死亡総合指標を用いて、疾病に関する主成分空間におけるホットスポットの検出を行い、地域と疾病との関係を統計的に説明した。 2.樹木の空間位相構造 従来、森林の生態構造研究では、単樹木の分布に焦点を当てたマーク付き点過程を利用した分析が中心であった。しかし、森林は複数の林冠(Canopy)、低木層(Understory)、ギャップ(Gap)から構成されるパッチによるモザイク構造をしており、森林全体の構造を表すにはパッチ単位で考えることが有効な手段になる。そこで、本研究では、対象とする森林を、(1)林冠とギャップ、(2)低木層、の2層により領域を分割し、樹木の大きさにより空間的な階層構造を求めるともに、同位相をもつ近隣樹木群をパッチとする検出法を提唱した。 3.空間データの階層構造の信頼性について Echelon解析は、空間的な階層構造を客観的かつ一意的に表現する記述的な方法として利用されてきた。本研究ではこれらを拡張し、母集団や観測誤差などを考慮した真の空間的な階層構造を検討した。具体的には、得られた観測値に基づき信頼区間を計算し、信頼区間から柚出された標本に基づきEchelon解析を繰り返し行い、その傾向を調べる方法を提唱している。 これらの研究成果は、統計関連学会連合、日本計算機統計学会、日中統計会議等で講演するとともに、COMPSTAT2010などの査読論文において公表した。
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