2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模分子シミュレーションによるヘモグロビンの新たな四次構造変化の提唱と実証
Project/Area Number |
20500268
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
斎藤 稔 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60196011)
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Keywords | ヘモグロビン / 四次構造変化 / シミュレーション / 並列計算機 / サブユニット |
Research Abstract |
ヘモグロビンは、生体内で酸素分子を運搬する重要な蛋白質であり、2つの二量体(α1β1とα2β2)からなる四量体である。これまでのX線結晶構造解析による知見から、ヘモグロビンは2つの二量体間のねじれ角を変化させることによって、4つの酸素分子を効率よく吸着して運搬すると考えられてきた。我々の研究の目的は、これまで見過ごされてきた2つの二量体間の距離もまた、新たな四次構造変化の指標になりうることを提唱し、分子動力学シミュレーションによって実証することであった。これを実証するために、4種類の異なる四次構造のヒトヘモグロビン(OxyT、OxyR、DeoxyT、DeoxyR)についてシミュレーションを行う計画であった。21年度までに、OxyT構造とOxyR構造そしてDeoxyT構造のシミュレーションが完了した。これらのシミュレーション結果を解析したところ、β鎖のC端のヒスチジンの電荷状態が四次構造変化に及ぼす影響を調べる必要が生じた。22年度は、そのためのシミュレーションを追加で実施した。また、ヒトヘモグロビンのDeoxyR構造がX線結晶構造解析によって明らかにされていないために、02を徐々に消去するシミュレーションを行ってDeoxyR構造を作り出した。長時間のシミュレーションを行う準備を整えることができた。計算は、主に計算科学研究センターの共同利用のスーパーコンピュータPrimequest(64プロセッサ)を利用して行った。また、本研究費を使って独自に構築した高速PCクラスタPCC7を活用して、シミュレーションの初期データの準備やシミュレーション結果の解析を迅速に行った。
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Research Products
(1 results)