2008 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達系パスウエイの挙動に基づく細胞群シミュレーション法の確立
Project/Area Number |
20500275
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
山田 訓 Okayama University of Science, 工学部, 教授 (20393506)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / サイトカイン / 免疫ネットワーク / iTreg / シミュレーション |
Research Abstract |
ヘルパーT細胞には,Th1, Th2, Th17, iTregなど多数の細胞種があり、その比率の決定メカニズムを理解することが免疫系全体の反応予測に重要である。それぞれの細胞は、特有のサイトカインを産生し、特有のサイトカインで分化の速度、増殖の速度が左右され、相互に影響しあっている。今年度は、細胞の増減を計算し、サイトカインの産生・細胞への影響が直接細胞分化や増殖の速度に影響するという簡略化した式で模擬するモデルを構築した。これまでに知られている細胞間の相互作用を含めたモデルを構築し、連携研究者である慶応大吉村教授が提供する実験データと一致するように、各種パラメータを調整した。その過程で、iTregの時間経過(3日後にピークを持ち、その後減少する)を説明するためには、フィードバックメカニズム(iTregを特徴付ける転写因子であるFoxp3で誘導される抑制因子でiTregへの分化やiTregの増殖が抑制される)を仮定すると実験データを再現できることが分かった。他の細胞種についても実験データを再現するようにパラメータを調整し、これまでに得られている実験データを、ほぼ再現できた。この結果を日本免疫学会と日本分子生物学会で報告した。 今年度構築したモデルより、より精度の高いモデルについて検討した。その結果、未分化細胞であるTh0内での、それぞれの細胞種への分化を決定付ける転写因子間の相互作用が分化の割合を決定するのに重要であるので、Th0内での転写因子の増減や相互作用を今年度構築したモデルに追加することにし、モデル化に着手した。
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