2010 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達系パスウエイの挙動に基づく細胞群シミュレーション法の確立
Project/Area Number |
20500275
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
山田 訓 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20393506)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / 免疫ネットワーク / 転写因子 / サイトカイン / シミュレーション / iTreg / Th17 |
Research Abstract |
ヘルパーT細胞には、Th1, Th2, Th17, iTregなど多数のサブタイプがあり、その比が免疫系の反応に重要である。今年度は、前年度に作成したTh0内で上記サブタイプへの分化を決定付ける転写因子(T-bet, GATA3, RORγt, Foxp3)の産生と転写因子相互作用を組み込んだモデルが生物実験データに前年度のモデルより適合するようにパラメータの見直しを行い、モデルの改良を行った。この改良モデルを用いて、TCR刺激強度依存性とTGF-β濃度依存性及びdendritic cellsとnTregを加えた系での長時間の挙動を検討した。その結果、TGF-β濃度依存性の再現性を改善し、生物実験データをよく再現することができた。特にこの依存性を再現するために想定した、Foxp3で誘導されRORγtの作用を抑制する抑制因子が、TGF-β濃度依存性を再現するためには重要であるが、TCR刺激強度依存性には余り関係しないことを明確にした。また、iTregの生理的な意味を検討するため、DCとnTregを加えた系の長時間の挙動を検討した。Th1, Th2, Th17, iTregそれぞれのサブタイプを誘導する条件で長時間の挙動を観察すると、各サブタイプが増加した後、iTregが増加し、最初に増加したサブタイプが減少するという挙動が見られた。これは、免疫系に作用するサブタイプ(Th1, Th2, Th17)の増加を、抑制性のサブタイプ(iTreg)が抑制し、ヘルパーT細胞の系を元の状態に戻すという抑制性のサブタイプ(iTreg)の生理的な役割を示したものであると考えられる。この結果を14th International Congress of Immunology, BMB2010, 2nd Synthetic Immunology Workshopで発表した。
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Research Products
(3 results)