2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳の記憶系及び学習理論との連携を考慮した嗅覚システム数理モデルとその応用
Project/Area Number |
20500277
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大林 正直 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 教授 (60213849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉本 尭 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40294657)
小林 邦和 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40263793)
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Keywords | 嗅覚系 / Freeman / KIIIモデル / 学習 / カオス / 情動 / 価値システム / 記憶 |
Research Abstract |
脳の高次機能中,視覚系に関する研究が飛躍的に進んでいる中で,聴覚系,味覚系,嗅覚系の研究は未だ不十分であり,嗅覚系に関する研究はこれからという分野である。このような状況下で,記憶系・学習理論との連携を考慮した嗅覚システムの数理モデルの構築が本研究の目的である。本年度の研究成果は、下記の通りである。 1. 嗅覚系数理モデルと感覚刺激に敏感な偏桃体・海馬・視床・大脳前頭前野眼窩皮質モデルの融合及び全体制御方式の開発. 1) 申請者らが開発した海馬-新皮質モデル及び,視床・扁桃体・頭眼窩皮質モデルら複数のモデルを融合し、その融合したシステムに情動モデルを新たに導入した強化学習モデルを開発し、自律移動エージェントの迷路探索問題にて、提案モデルの有効性を数値シミュレーションにて示した。特にこれまで、報酬と罰のみによる強化学習へ、エージェント内部での情動を考慮することで、これまでにない複合的な意思決定が可能となった。 2) 匂いや、環境情報等の入力に対し、その価値をエージェント内部で評価する、これまでにない価値システムモデルを構築し、構築した価値システムをこれまでの学習モデルへ融合し、新たな学習モデルを提案した。さらに、提案モデルをエージェントの行動学習シミュレーションにて有効性を検証した。 3) 匂いを含めた、環境情報等に対して、エージェントが適切な行動を学習し、その有効な経験を記憶系へ埋め込む場合、必要に応じて、経験記憶のなかから、エージェントが現在遭遇している環境に対応した記憶を、効率的に、かつ、正確に取り出す必要がある。この問題を、時系列情報を取り扱えるフードバック型自己組織化マップを導入することで、それまでの経験をうまく利用し、未知の環境においても適切に動作し、目的を達成するあらたな記憶系入出力システムを備えたエージェント構成法を開発した。さらに、その有効性を計算機シミュレーションにて確認した。 4) これまでの記憶システムでは、記憶した情報を素早く、正確に取り出すことは困難であったが、生物の"注意"という概念を導入し、必要なときに、その注意パラメータを利用し、迅速に想起しうる記憶システムを考案した。
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