2010 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚受容体遺伝子の単一発現制御と嗅神経回路形成の分子機構
Project/Area Number |
20500280
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西住 裕文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (30292832)
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Keywords | 嗅覚受容体 / 遺伝子発現 / 神経回路形成 / 軸索投射 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
マウス嗅覚系において、匂い分子を受容する嗅覚受容体(odorant receptor : OR)は1400種類以上存在するが、個々の嗅神経細胞ではそのうちの一種類のみを、相互排他的かつmono-allelicに発現している。嗅神経細胞はどのORが発現するかによってその神経個性が規定され、軸索を嗅球上のどこに投射し糸球体構造を形成すれば良いかが決定される仕組みになっており、OR遺伝子の発現制御を明らかにすることは、単に遺伝子の活性化機構を理解するに止まらず、嗅神経回路形成の理解にも重要である。本研究では、OR遺伝子を一つ選択して活性化するlocus control regionによる正の制御と、発現したOR分子が残りのOR遺伝子の新たな活性化を阻止する負のフィードバック制御の両面から研究を進め、OR遺伝子の単一発現が保障される機構の解明を目指す。 a)前年度までの研究から、マウスH領域に結合し得ることが判明した転写因子Emx2の、OR遺伝子発現における寄与を、Emx2欠損マウスを用いて解析した。その結果、OR遺伝子の種類によって、発現する嗅細胞数が減少するもの、増加するもの、変化しないものに分かれる事が判明した。Emx2はOR遺伝子の発現を正にも負にも制御する事が示された。 b)OR遺伝子の発現を負に制御するフィードバックシグナルにおいて、β-Arrestinが関与するか、ノックアウトマウスを作製し解析した。in situハイブリダイゼイション法により、嗅細胞ではβ-Arrestin1とβ-Arrestin2が発現する事が確かめられた。そこでまず、個々の単独欠損マウスにおけるOR遺伝子の発現を調べたが、発現異常は認められなかった。ノックアウトマウスにおいて、β-Arrestin1とβ-Amestin2が互いの機能を相補している可能性が高い。OR遺伝子の発現におけるβ-Arrestin1/2の機能を検討するには、二重欠損マウスを作製する必要がある。
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Research Products
(3 results)