2010 Fiscal Year Annual Research Report
逐次経頭蓋電気刺激法によるマウス頭頂連合野の機能解析
Project/Area Number |
20500281
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (90313551)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / 可視化 / 認知科学 |
Research Abstract |
(1)一次感覚野・高次感覚野・領野間機能的結合マップの作製 画像データを得る条件の改善を行った。従来は、10Hz10発の経頭蓋電気刺激を1分毎に加え、得られた計20枚の画像の平均をデータとして採用していたが、単発の電気刺激を15秒毎に加え、計100枚の画像の平均からデータを取得してみた。新条件では、反応の大きさは小さくなったものの、画像枚数を大幅に増やしたことによってノイズがより少ない良質のデータを得ることができ、さらには同条件で下記の電気生理学的実験を行うことが可能になった。 負のフラビン信号の大きさと自然発火頻度の減少率との間の定量関係を調べた。新条件により頭頂連合野や後部帯状回を経頭蓋電気刺激して、視覚野を観察したところ、約0.2%の負フラビン信号が測定できた。一方、同条件で一次視覚野からユニット活動を記録したところ、自然発火頻度が約22%減少していた。また逆に、一次視覚野を経頭蓋電気刺激して、正のフラビン信号が観察される一次視覚野からユニット活動を記録したところ、自然発火頻度の増加が見られた。以上の結果から、フラビン信号の減少は神経活動抑制の成分であることを明らかにできた。 (2)経頭蓋電気刺激による可塑的変化の誘導 可塑性を持つと予想された機能的結合の増強を試みた。感覚刺激と経頭蓋電気刺激とのペアリングによって、両側の一次体性感覚野を結ぶ交連繊維での可塑的変化の誘導を試みたが、増強の傾向は見られたものの顕著な結果は得られなかった。そこで経頭蓋電気刺激に代わって、皮質に電極を刺入して電気刺激する深層刺激を使ったところ、有意な増強が観測された。これは、経頭蓋刺激よりも深層刺激の方が、より広範囲に神経活動が広がって増強する条件に適合したからだと推測される。以上から、対象となる機能的結合によっては経頭蓋電気刺激では可塑性を誘導できない場合もあることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)