2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 正 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (50311197)
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Keywords | visual saliency / 注意 / サッカード / サル / LIP / 頭頂連合野 / 眼球運動 |
Research Abstract |
視覚的選択が行われる過程では、知識や予測にもとづいて特定の空間位置や刺激特徴に注意を向けるトップダウン型の注意だけでなく、ボトムアップ型の注意も重要な役割を果たしている。例えば、多数の赤いリンゴの中で1つだけある黄色いミカンのように、基本的な特徴次元で周囲とコントラストをもつ刺激はポップアウトし(視覚的顕在性が高く)、我々の注意を自動的に惹きつける。注意や視覚選択の理論モデルは、視覚的顕在性にもとづいて複数物体の中から1つの物体が選択されるためには、特徴次元に関係なく各物体の視覚的顕在性を表現する2次元地図(saliency map)が脳内に存在する必要性を指摘している(Koch & Ullman, 1985; Itti & Koch, 1999)。本研究では、このような特徴次元に依存しない視覚的顕在性(visual saliency)が後頭頂連合野(LIP野、7a野)で表現されている可能性を調べることを目的とする。本研究では、(1)"視覚的顕在性の強さ"を心理物理実験によって行動学的に評価する。複数刺激の中で1つだけ異なる刺激を目標として探す視覚探索課題をサルに行わせ、目標に向かうサッカード眼球運動の潜時を計測して、"視覚的顕在性の強さ"を間接的に示す行動学的な指標とした。次に、(2)ニューロン活動記録実験では、(1)の心理物理実験と同一の視覚刺激セットを呈示し、ニューロン応答を後頭頂連合野から記録した。その結果、後頭頂連合野ニューロンが、行動学的に推定された視覚的顕在性の強さを反映するニューロン活動を示すことが見出された。本研究結果の一部は、英文専門誌に投稿・受理された(Journal of Neurophysiology, Ogawa & Komatsu, 2009)。
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Research Products
(2 results)